「やべえ……」
陽平がぼそっと呟くと、目の前の少女はスローモーションのようにゆっくりと遼達を視界に捉えた。
瞬間、今まで見えなかった少女の左目に掛けられている真っ赤な眼帯がこちらを向く。パッツンに切り揃えられた前髪の下、毒々しいほどに真っ赤なそれ。
あまりにも異様な雰囲気に遼達は次の言葉を発せず、ただ立ち尽くしていた。
少女が訝しげに右目を細め、威圧するかのように腕を組んで指をとんとんと叩き出した時、沈黙を破ったのは陽平だった。
「えっと、何をお求めでしょうか?」
身長が百五十センチあるかないかと思われる少女に対して、目線を合わせるように片膝をついて尋ねる。
「…コンソメパンチ」
「……」
「…聞こえないの?」
予想以上に透き通った声に、再び思考が奪われてしまっていた。
少女は怪訝そうに陽平を見つめると眉間に皺を寄せて、陽平の後ろで黙る遼に視線を向けつつ再度口を開く。
「ねえ。コンソメパンチ、ないの?」
「えっと…コンソメパンチって、あの?」
陽平と同じく片膝をついて、今度は遼が聞き返した。
「ポテチのコンソメパンチでいいのかな?」
「…ポテチ以外でコンソメパンチがあるの?」
「あ、それもそうか。ちょっと待ってね、今…」
「二人して跪いたりして馬っ鹿みたい」
「…は?」
「どこの王子気取り? あるかないかだけハッキリ言いなさいよ。こんな短時間に『コンソメパンチ』って何度も言わされたの初めてだわ!」
思い掛けない毒舌攻撃にこれまた間抜けな反応をしてしまった。
遼の言葉を遮って捲し立てる姿はお姫様なんて可愛いものじゃなく、威圧感たっぷりの女王様のようである。
呆然とする遼を余所に組んでいた腕を解き、腰に手を当てながら「役立たず」だの「耳腐ってんじゃないの?」などと言い続けている少女。
すると、その様子をじっと見ていた陽平がにんまり笑ってパチンと指を鳴らした。
陽平がぼそっと呟くと、目の前の少女はスローモーションのようにゆっくりと遼達を視界に捉えた。
瞬間、今まで見えなかった少女の左目に掛けられている真っ赤な眼帯がこちらを向く。パッツンに切り揃えられた前髪の下、毒々しいほどに真っ赤なそれ。
あまりにも異様な雰囲気に遼達は次の言葉を発せず、ただ立ち尽くしていた。
少女が訝しげに右目を細め、威圧するかのように腕を組んで指をとんとんと叩き出した時、沈黙を破ったのは陽平だった。
「えっと、何をお求めでしょうか?」
身長が百五十センチあるかないかと思われる少女に対して、目線を合わせるように片膝をついて尋ねる。
「…コンソメパンチ」
「……」
「…聞こえないの?」
予想以上に透き通った声に、再び思考が奪われてしまっていた。
少女は怪訝そうに陽平を見つめると眉間に皺を寄せて、陽平の後ろで黙る遼に視線を向けつつ再度口を開く。
「ねえ。コンソメパンチ、ないの?」
「えっと…コンソメパンチって、あの?」
陽平と同じく片膝をついて、今度は遼が聞き返した。
「ポテチのコンソメパンチでいいのかな?」
「…ポテチ以外でコンソメパンチがあるの?」
「あ、それもそうか。ちょっと待ってね、今…」
「二人して跪いたりして馬っ鹿みたい」
「…は?」
「どこの王子気取り? あるかないかだけハッキリ言いなさいよ。こんな短時間に『コンソメパンチ』って何度も言わされたの初めてだわ!」
思い掛けない毒舌攻撃にこれまた間抜けな反応をしてしまった。
遼の言葉を遮って捲し立てる姿はお姫様なんて可愛いものじゃなく、威圧感たっぷりの女王様のようである。
呆然とする遼を余所に組んでいた腕を解き、腰に手を当てながら「役立たず」だの「耳腐ってんじゃないの?」などと言い続けている少女。
すると、その様子をじっと見ていた陽平がにんまり笑ってパチンと指を鳴らした。