「美香ちゃんっ!」
その声にあたしは現実に戻る。
そっか、死んだんだ。卒業式の途中に。
何で、思い出せなかったんだろ。
やっぱり、疲れてたのかな~?
「あっごめん。何?」
「だから~次。移動教室だよ?」
「あれっ?今卒業式してなかったっけ?」
さっきまで体育館にいたのに、いつの間にか教室のイスに座っていた。
「何言ってるの?卒業式何て3ヶ月前に・・・・・終わったじゃん。」
「えっ?だって・・・・さっき体育館に・・・・それに先輩死んじゃったし・・・・」
その言葉に一気に梨香ちゃんの顔が暗くなる。
「それ禁句だって。確かに死んだよ?でも、それから3ヶ月。あたし達は2年生。今の1年生は卒業式のことを知らない。校長が新入生に知られないようにその事は忘れろって言ったじゃん。」
その言葉であたしの頭のなかに凄い速さで記憶が蘇る。
そうだ。あの日、目の前で死んだ卒業生。
何も知らずに入ってきた1年生。