私は視線をどこに持っていけばいいのか分からなくて、

恥ずかしくて、

だけど、胸に広がるじんわりとした温もりが。



これ以上にない程、切なくて優しい。



「あ、の…、その…、」



先ほどまでつらつらと書いていた日誌に視線を落とし、

何か話さなくちゃ。って。


だけど、口をついてきた言葉は、途切れ途切れで。


明白な答えなんて出てこない。



「もう一度、言うか?」



やっぱり彼は幸せそうだ。

表情は見なくとも、発せられる声はどこか弾んでいる。

私は返事すらできなくて、それでも彼が小さく息を吸うものだから。


待って。


と言いかけて、顔を上げた。



「俺は、お前が好きだよ。」


どうやら少し遅かったらしい。

私の願いは聞き入られることなく、彼は言葉を発した。


そんな、甘い言葉。


聞きなれてない。聞きなれるわけ、ない。



彼と視線が絡み合って、逸らせない。



どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。


堪らなく嬉しいのに、

堪らなく苦しい。