誰もいない教室。



時刻は既に5時を回っており、夕日が空を赤く染める。

それは、言い表しようのない程きれいな。



運動場からは、運動部の掛け声が遠くに聞こえ、

時折吹く風が木々を揺らしては、秋の匂いを運んでくる。




とても素敵なシチュエーション。


とは、いかないけれど。




きっと、今私の頬は赤く染まっているのだろう。



それが夕日に照らされてなのか、

それともまた別の理由があるのかは、

きっと誰も知らない。


カラン


手に持っていた淡いピンクのシャーペンが手からこぼれ落ちた。


手から机へ。机から床へ。

コロコロと少し転がって、やがて止まる。



彼は、私を見つめたまま

それはそれは誰もがうっとりしてしまうくらい。

とても優しく綺麗な。


そんな笑みを浮かべながら、幸せそうにこちらを見据える。