来いよ、って。

私は犬ですか?


と思いながらも、ついていかないと話はできないわけであります。


私たちが来たのは、学校の屋上。

屋上は鍵が閉まっていたのに、仁はなぜかその鍵を持っていた。


「あ、これな職員室で鍵をちょっと借りたついでにスペア作った。」

「悪っ。」
「失礼な。天才って言ってくれる?」

「・・・・・・」

「はーい。」


自分で返事してるし。


「で、話って何?」

ここで本題に入ろうとする仁。


まぁ、話しがあるからここに来たわけですが。

「別に、ありがとうって言いたかっただけ。だからあの場所でもよかったのに。」


「いや、ここでよかったです。」

「え?」


「よく考えてみろよ。」

よく考える。


授業以外で頭使うのって結構大変なのに。

でも、いくら考えても別にあの場所でもよかったと思う自分がいるのは変わらない。


「あのな~・・・」


私が小首をかしげると、仁は少しあきれ気味に話してくれた。


「あそこ、3年の教室の前で、2年の真里亜と3年の俺が話してみろよ。」

「うん。」


「後で、俺らの関係がどうとかって話になるのは目に見えてるわけだ。」

「うん。」

「うんって、平気なわけ?」


「だって、友達でしょ?」

「はぁ・・・」


頭を抱えてしゃがみこむ仁。

どういう関係って、友達って言うだけでしょ。


「そう簡単にいくわけねぇだろ。」