喧嘩はする。
話し方もどんどんきつくなっていく。
それでも、陰でお母さんらしいことをするっていう決まりごとは守ってきた。
時々、パパに相談するのは変わらなかったけど。
そして、あの日。
そろそろ、真里亜ちゃんに少しでも近づきたいっていう欲が出てきたの。
だから、夜だったけど服でも買いにに行こうと思った。
早くしないとお店が閉まっちゃうから、食器を洗うことくらい頼もうとした。
そうやって、少しでも会話できたらいいな、なんて思った自分が悪かったの。
真里亜は、私の話を聞き入れてくれなかった。
真里亜が部屋に戻ってから、すぐに真咲に言って家を出た。
それから、近くのお洋服屋さんに行ったけどどの服も可愛かった。
どれでも、真里亜に似合うと思ったの。
でも、怖くて買えなかった。
真里亜の好みがわからなかった。
それなのに、服を買って帰っても着てもらえないかもしれないって思ったの。
だから、買わなかった。
そのまま、家に帰ろうと思ったんだけど、せめてケーキでも買って帰って皆で食べようって考えた。
ケーキ屋さんで、4つのケーキを買って家に戻った。
ゆっくり歩いて帰った。
少しだけ、家に帰りたくないって思う自分がいたから。
でも、もちろん家に着いた。
皆寝てるころかなって思いながら家の扉を開けた。
『おかえり』って出迎えてくれたのは圭太さん。
ずっとパパは起きていてくれたみたいで、とっても嬉しかった。
それからは、またパパと二人で話し合ってた。
相変わらず、慰めてくれる圭太さんのことを、本当に心から嬉しいと思った。
ケーキは夜にでも食べようと思って取っておいたんだけど、その日帰ってきた真里亜はまたすぐどこかに行って、帰ってきたと思ったら悲しい顔をしてた。
それを見て、私は結局ケーキを出すことができなかった。
真里亜が落ち込んでるときにケーキなんて、ありえないでしょ?