校門のところで、私は足を止めた。

「どした?やっぱ、帰るとか?」


「そうじゃなくて・・・」

このまま私の教室まで一緒に来てくれると言っていた仁。


でもそれは私も少しどころか、かなり恥ずかしい。

それに、勘違いされても仁に迷惑がかかるばかり。


いくら、2年に知ってる人がいるからって朝から会いに来るなんてそんなこと男の子が律儀にしないでしょ。


と、私が説明すると「なら、一人で行けるのか?」と言う仁。


「真里亜が怖くないなら俺はいいよ。」


「・・・うん。」

「お、言ったな。なら、怖くなったらいつでも来いよ。俺、休み時間ならその辺の廊下とかにいるし。」


「うん。わかった。じゃぁ、またね。」


「おう、またな。」


「またね」という言葉をどうして言ったのか。

もしかしたら、もう会わないかもしれないのに。


また、今日も会おうっていう約束みたいじゃない?


不思議な気持ちを胸に、私は自分の教室へ向かった。



教室に向かう自分の足が鉛のように重い。

一歩ずつ、一歩ずつ進んでいく私。


そして、自分の教室の前に着いた。


ドアを開けようとしたとき「真里亜」と私を呼ぶ声が聞こえた。

その声は、その声の人は、あなたしかいない。


そっと後ろを振り向くとそこにはやっぱり、一斗がいた。

「真里亜、昨日あの後どこにいた?」


「・・・・・・」

「俺、ちゃんとお前に話そうって思ってたんだ。でも、タイミングがつかめなくて、それで」
「一斗っ」


一斗の後ろから聞こえてきた声は、カナ。

私は、一歩後ずさりをした。


昨日のことが頭の中で走馬灯のように流れていく。