暗いなかでも、仁が少しだけ首をかしげたのがわかったような気がした。
仁のそんな仕草が、少し可愛いと思った。
「仁・・・」
「ん?」
私は、勇気を出して仁に自分の気持ちを伝えた。
「私、さっきね。仁の傍にいたいって・・・思った。」
「は、い?」
「明日、帰るって私が言ったら仁は否定しなかったでしょ?それが、寂しかった。もっと一緒にいたいなって・・・ってごめんなさい。寝ます。」
「いや、待てよっ。」
もう一度布団を頭までかぶろうとしていた私の手を掴んで押さえる仁。
その行動にお互いが驚いていた。
私は、手を押さえられて驚いたのもある。
けどそれ以前に・・・
仁は私の手を押さえて、いる自分の体制に気が付いたみたい。
「あ、ごめんっ。」
「う、ううん。こっち、こそ・・・」
仁が私の上から降りて、またベッドに座りなおす。
とても気まずい空気が二人の間に流れる。
「別に、明日、残ってても構わねぇから・・・。」
「う、ん。」
しばらく沈黙が続く。
そして、その沈黙を破ったのは仁。
「俺、ここに椅子持って来てもいい?」
「え?」
「あ、いや、その・・・。ほら、真里亜がまた寂しいとか言わないようにここで寝ようかなって。椅子持って来てさ。」
どんどん顔が熱くなるのがわかった。
嬉しくて?
恥ずかしくて?
私って、こんなにも女の子だったんだ。
「ちょっと、待っててな。ってか、寝てていいよ。俺も、すぐ寝るし。」
ベッドがキシッといって仁が部屋から出ていく。
数分後、仁がまた寝室へ来て、椅子と掛布団を持って入ってきた。
それから仁は私が寝ていると思ったのか、そっと「おやすみ」と言って仁も眠りについたらしい。
私の心臓がドクンドクンと鳴り響いていてなかなか眠れなかったことを仁は多分知らない。