さっき、あの公園で夜空を見ているとき。
きっと、私はこれから先家族にも捨てられる。
真咲のことをあんなふうに言ってしまった自分がいた。
お母さんに会いたくないとずっと思っている自分がいた。
パパには会いたいけど、今は会いたくなかった。
きっと、パパなら私の心の変化に気付く。
何があったのかなんて聞かれたら何て答えたらいいのかわからない。
「一斗に振られた」なんて、認める自分も嫌だった。
それなら、私はこのまま消えてしまおう。
そうすれば、何もかもが終わる。
だから本当は、あの公園で死んでもよかったのにと思ってる。
でも、そんな私を助けてくれたのはこの男の人。
私の計画を壊してくれた。
「なぁ、どうすんの。帰るの、帰らないの。」
「・・・・・・」
「わかったよ。じゃぁ好きにして。」
「え?」
「お、やっと返事した。」
「っ・・・」
「帰りたくないならここにいてもいいよ。あ、ここ俺一人暮らし中だから親とか来ないし気にしなくていいよ。」
「いや、でも」
「帰りたくないのに、無理に帰ってもダメでしょ。そういう時あるって。帰りたくなければ、それでいいじゃん。」
こんな人、初めて見た。
なんてポジティブ思考な人なんだろう。
私みたいにネガティブなところなんてないんだろうな。
「あ、ベッド使ってくれていいよ。」
「そんな、悪いです。」
「気にすんな。あ、汗臭かったらごめん。」
「・・・大丈夫ですけど、でも」
「あぁっ、もういい。」
どうやら怒らせてしまったらしい。
そのまま、部屋を出て行ってしまった男の人。