「カナ!」

「だって、本当のこと言わなきゃ。真里亜にはわからないよ。」


「一斗」

「・・・っ」
「何があったのか、話してよ!」


私の中ではわかっていた。

カナが、自分のお腹をさする動作で。

だって、カナと一斗はそういう関係だもんね。



でも、私はまだ一斗を信じてるよ?
一斗が何も言わないから。


私、一斗を信じるよ?


「真里亜っ」

「なに?」



「ごめ、んっ・・・」





・・・わかってるよ?

一斗、もうこれからはパパなんだからちゃんとしなきゃダメだよ。

泣いててどうするの。


これから、パパになる人が。
泣いてたら自分の子供に笑われちゃうよ?


だから、もう私のことは気にしないで。

カナと、幸せに、なって―――




私は二人のいる場所から離れた。

一斗は泣いていた。
どうしたのかな。

子供ができたのが嬉しかったのかな。


そっか、一斗パパになったんだね。

すごいな。

パパか。


どんな家庭になるのかな。

きっと、一斗ならいいパパに・・・っ―――



「どうして、私ばっかりっ!」


私は、ひたすら走った。


どこまでも、ずっと、ずっと、走った―――