「帰るんだ。」
「うん。・・・なに?」
「いや、帰るんだなぁって思って。」
「だから、帰っちゃダメなの?」
「だめって言ったら、帰んねぇの?」
あきらかに仁の様子がおかしい。
寂しそうな顔でそんなこと言われたら、なんて返事したらいいのよ・・・。
「わりぃ。意地悪しすぎた。送ってくよ。」
私の横を通って荷物を取りに行ってくれる仁。
でも、仁・・・私だって、帰りたくないよ?
仁の傍にいたい、けど・・・。
「帰るか。ほらっ」
仁が私に荷物を渡してくれる。
でも、私はそれを受け取らなかった。
「真里亜?」
「帰らない・・・。」
「は?」
「仁が帰ってほしくないって言うなら、帰らない・・・。」
仁の体のことを思って、帰った方がいいかなぁって思った。
でも、仁があんな顔であんなこと言うから・・・帰りたくなくなっちゃった。
「んじゃ、帰さねぇよ。」
「っ・・・」
「今更恥ずかしがる?」
「言ったものの、やっぱり帰る!」
「ダメだっての。」
グイッ―――
仁に手を引っ張られて、腕の中に閉じ込められた。
「帰る!」
「ダメだって。」
「ウザい!」
「ウザくて結構です。」
「やだぁー!」
「真里亜」
「なに!」
・・・―――