こんな甘い言葉を目を見て言われると、すぐに目を逸らしてしまうのは当たり前。


でも、仁は私の顔を覗き込んでくる。

意地悪そうな顔をして、面白うな表情で。


「見ないでよ!」


「さっきの仕返し。」

「もう!嫌い!」


ふんっ、と後ろを向くと後ろからそっと抱きしめられた。


だけど、そんな仁の腕をほどく私。

「え、まじ?」


「まじ!」

「俺のこと嫌い?」


「大っ嫌い!意地悪するから嫌い!」


「・・・・・・」


あ、懲りたかな。

これ以上言うとナイーブな仁はまた傷ついちゃうよね。


そう思って仁の方を振り向くと、仁は下を向いていた。



あれれ?

これはもしかして、ホントにイジメすぎちゃったかな。


「仁?」


「それでも・・・」

「え?」


「それでも俺は真里亜が好きだっ!」


「っい、言われなくてもわかってるから!」

「ウソだろ!さっき大っ嫌いって言ったくせに!」


「あれは仁に仕返ししようと思って言っただけだよ。」

「信じらんねぇ。」


私は、仁を傷つけるだけじゃなくて仁からの信頼も失っちゃった。

これって、ホントに終わりってこと、じゃないよね?


「じ、ん・・・ごめんなさい。もう言わないから・・・。」


「ウソつけ。」

「・・・っごめん」