「でもっ、仁、何も言ってくれなかったじゃんっ。」
「言えねぇよ。今までの自分を考えたら受け入れてもらえねぇって思ったから。」
仁も、不安だったんだね。
私よりももっと前から不安だったんだ。
私なんか、今日気づいたくせにすごく不安で怖かったのに。
仁はもっと前からだったんだ。
「1週間前までは、ずっとこの気持ちは俺だけの秘密にしようって思ってた。でも、裕樹がくれたこれが俺の気持ちを固めたんだ。あ、裕樹からじゃねぇか。」
「・・・ばか。」
「うるせぇよ。泣きながら言うな。」
「・・・・・・」
「裕樹のおかげで、甲子園での試合が終わったら真里亜に気持ち伝えようって決めれたんだ。裕樹いわく『無理やり選ばせた感が満載』とは言ってたけど、それでも嫌がらずに選んでくれたってことは期待してもいいのかもなって思って。」
「結構な自信過剰だね。」
「あ、やっぱそう思う?」
「メチャクチャ、思う。」
「ははっ、だよな」って言いながら笑ってる仁。
だから私も一緒に笑った。
仁が自分の体から私をそっと離す。
でも、やっぱり仁の顔を見るのが恥ずかしくてすぐに下を向く私。
涙でグチャグチャになった顔を見られるのが恥ずかしいっていうのもある。
「真里亜。今度は、ちゃんと答えてくれよ・・・。」
「・・・何を?」
「俺のこと、どう思ってる?」
またこの質問。
さっきはこの言葉に驚いてショックだったけど、今はそんなことはない。
仁が不安だったことを知って、仁が私のことをどれだけ大切に思ってくれてたのかが分かったから。
「真里亜?」
「うん・・・」
―――さっき以上に大好きになっちゃった。