仁と歩く帰り道はいつもとは違って、とてつもない緊張感が二人を襲っていた。


いつもはここに裕樹がいてくれたけど、今日は・・・仁。

いつもみたいに普通に話をしたいのに、なかなかそうもいかない。


仁も何だかいつもと違う感覚に少し戸惑ってるみたいだし。


「じ、仁。」

「お?なに。」


「あの、さ。あ、ネックレス!そう、ネックレス見せて!」


「あぁ、これか。」

何か話してこの雰囲気を明るくしようとした。


私、自分で言うのも変だけど頑張ったよね。


「このリングさ、すげー気に入ってんの。」

「喜んでもらえてホントによかった。」


「いっつもこれ見ると、なんか変な気持ちになってさ。嬉しいってか、恥ずいってか。」


「仁にもそんなところがあるんだね。」


「俺だって人間だしな。」


いやいや、そこは別に人間につなげなくてもいいじゃないですか。

でも、仁がアクセサリーをしてるっていうのがまた、かっこいいんだよね。


この人が、私の彼氏ですか。



考えただけで顔が赤くなるのがわかる。

「真里亜、顔赤いぞ?」


「な、気のせいよ!」

少しだけ歩くスピードを速めて歩く私。


その後ろを愛しい人が追いかけてくる。

こんなこと夢にも思ってなかった。


「なぁ!真里亜!」

「なによ!」


「ちょっと、俺んち寄ってかない?」


「今から?」

「そう。まぁ、疲れてんなら話は別だけど。」


仁の家かぁ。

行きたいけど今日の興奮のおかげで相当汗かいたよね、私。


行きたいのはやまやまだけどっ。