あっさり返事をされた。
知ってたんだ・・・。
「だから俺が真里亜と一緒に帰ってたんだよ。」
「え?」
「神野先輩に頼まれて。一緒に帰りたくても、また傷つけるかもしれないからってさ。今までの自分のことを踏まえて考えたんだろうな。」
「仁が、そんなこと言ってたんだ・・・。」
いまだ、尾崎先輩と言い争いをしている仁を見た。
ちゃんと考えてくれてたんだね。
「指輪も、今日あの人付けてんぞ。」
「え?」
「首。ネックレスにしてあれからずっとつけてる。」
「うそ・・・」
気がつかなかった。
ずっと仁を見てたのに首元には目がいかなかったもんね。
「俺が渡した時、真里亜が選んだって言ったらスゲー喜んでた。さすがにこれからピッチャーやるし、指には、ってことで首に付けたんだと。」
「・・・そっか。」
「お前の鞄についてるのみて、毎回顔赤くしてたぞ。」
「わぁ、イメージ無いな。」
仁が顔を赤らめるなんて、思いもしないよ。
それを聞いた私も顔が赤くなる。
「今日の試合で、時々スタンド見てたろ。」
「うん。」
「真里亜に俺の気持ち届かねぇかなぁ、とかなんとか言ってたぜ。」
「・・・うん。届いた。」
「ノロケ話聞きたかねーよ。」
「もう!」
裕樹はなんなのよ。
自分から話しておいて。
もしかして、悔しいとか?
自分に彼女がいないから、恨んでる?
「あ、裕樹羨ましいんでしょ。仁と私が。」
「いや、俺もうすぐ1年記念がくる彼女いるし。」