バッターボックスへ立って、バットを構える。

そんな姿もかっこいいと思える。


当たり前か。

仁は誰よりもかっこいいから。


「また顔赤くなってるわよっ。」

「ほっといてください!」

「照れなくてもいいじゃないっ。」


そうですけど、って照れますよ!


その時、ボールがミットに入る音が聞こえた。


さっそくストライクを取られた。

まだ、大丈夫だよ。


私は掌をギュッと握りしめて仁を見つめた。


パンッ―――


また、ストライク。

追い込まれると更に緊張する。

仁も私も、みんなもきっと緊張してる。


そして、ピッチャーがそのボールを投げた―――。


「仁っ!!」

私が叫んだ直後に、グラウンドにいい音が響いた。


パンッ―――


それはミットにボールが入った音。

三振、しちゃった?


「真里亜ちゃん。今のボールだって。」

「え?」


「ストライクじゃなかったみたい。」


どうやら、ボールはミットに入ったけどそれはボールだったらしい。

よかったぁ・・・。


でも、次にストライクを取られたらこの回が終わっちゃうのは変わらないんだ。


また緊張に包まれる。

そして―――


カーンッ―――