「好きって認めたら、楽になるよ。あ、逆に苦しいかな。」

舌をちょこっとだけ出しておちゃめに言う岡本先輩。


岡本先輩も苦しいのかな、って私苦しくなんか・・・―――



―――あの日、1週間前のあの日。


『もし仁がアクセをするならどんなタイプがいいのかな』

『仁はリングとかするのかな』

『勘違い、しちゃうよ・・・っ』



あの日、私は確かにそう思った。


仁がアクセをするかしないかなんて関係ないのに。

ただ、裕樹に「選べ」って言われたから選んだだけだったのに。


結局はちゃっかり仁に渡してる。


仁がリングをつけるかなんて、どうでもいいはずなのに。

本当は仁にしてほしいと思ったかもしれない。


仁からのメールを見て、本当に嬉しかったのに寂しかった。

勘違いしちゃうって、私本当は、気づいてたのかな。


「また点入れられなかったわね。」

「え?」


「あら、見てなかったの?神野くん打ったけどアウトになっちゃったわよ?」


「あ、そうなんですか。あはは・・・」
「まぁ、私がこんな時に話したのがいけなかったんだけどね。しっかり考えてたってことでしょ。」


「・・・私、好きなんでしょうか。」

「はい?」


そりゃ、岡本先輩のその反応で正解だと思う。

だって、岡本先輩には私の気持ちなんてわかるわけないのに、こんなこと聞いちゃうなんて迷惑な話だよね。


「自分が相手のことを好きかもしれないって思ったら、そこから恋が始まると私は思うけどね。」

「好き、かもしれない。・・・思ったこと、無いかもしれないしあるかもしれません。」


「真里亜ちゃん、鈍感だったりする?」

「え、鈍感って」


鈍感。

これ、裕樹が私によく言ってた言葉。