そこに現れたのは裕樹。

今日私はどうやら裕樹よりも早くここへ来てしまっていたらしい。


そういえば来たときに裕樹の姿見えなかったな。


「おはよう、裕樹。」

「ん。で、なんで神野先輩が朝からここにいるんすか?」


「お前ら二人してんなこと言うなよ。俺だってたまには朝練にだって出てくるさ。」

「たまたまですか。」


「・・・まぁ、そういうことにしとけ。」


そそくさと私と裕樹から離れて行く仁。

なんだか少し怒ってる?


「真里亜、頼みがあんだけど。」


仁の後姿を見ていると裕樹が話しかけてきた。

「なに?」


「ちょっと放課後付き合ってくんね?買い出し。」

「買い出し?」

「おう。用事あるか?」


「いや、特にないよ。」

「じゃぁ、よろしく。」


「わかった。」


珍しく買い出しに行くと言い出した裕樹。

いつもなら岡本先輩と佐藤先輩が行ってるんだけど。


もしかして今日はお二人が欠席とか?


と、そんなことを思ってたら遠くの方から岡本先輩と佐藤先輩が歩いてくるのが見えた。

なら、休みじゃないよね。


裕樹の買い出しって、なに?



朝練を終えて、みんなが教室へ向かい始める。

私も教室へ向かう準備をする。


その時、筆箱がないことに気が付いた。

私ってよく筆箱忘れるな。


今回は家だけど。


書くものがないと授業にならない。

一人悩んでいると「おい」って声をかけてきた人物がいた。