追い込まれちゃいましたけど。
少しみんなの顔がゆがんだ。
でも、真剣に田中先輩を見つめている。
ピッチャーが、ボールを、投げた。
パーンッ―――
その音は、田中先輩がボールを空高くに打ち上げた音だった。
「たーなかー!」
歓声が大きくなる。
そして、球が伸びていく―――
トスッ―――
「「うおぉー!」」
「田中、走れー!」
スタンド手前で落ちた球。
塁を埋めていたみんなが帰ってくる。
山口先輩がサードベースを蹴る。
そして、田中先輩はセカンドベースへ。
山口先輩がホームへ、帰ってきた。
「「すげーじゃん!」」
スタンドもベンチも歓喜でいっぱいだった。
うちは山口先輩まで帰ってきた。
つまり、3点の追加。
これでうちは、8点になった。
だいぶ点差が開いたせいか、相手チームのベンチがかなり静かだった。
うちは次の藤井君と仁でアウトを二つ取ってこの回を終えた。
あとはうちが守れば、勝ち。
みんな、最後まで頑張ってっ!