「なに?」
「俺、頑張ってみるよ。一回、家に帰ってみる。」
「うん。ファイト!」
「で、うまくいってもいかなくても、これからも・・・その・・・。」
途中で黙り込んでしまった仁。
どうしたの?
すると、仁はぱっと私の目を見て口を開いた。
「また、一緒に飯食ってもいいか?・・・迷惑じゃなかったら、ここで・・・。」
「全然、構わないよ!お母さんや真咲だって喜ぶよ。」
「まじか。ありがとな!」
そんなの、全然構わないんだよ。
いつでも来てくれたらいいんだよ。
私、仁の支えになるよ。
なれるかわからないけど、不安で仕方ないけど、でもできると思うから。
ちゃんと支えようって努力するから。
一緒に、頑張っていきたいな。
仁と私はコーヒーと紅茶を飲み終わり、そろそろ仁を見送ろうとしていた。
そのとき「あ、そうだ」って仁が私の方を向いた。
「忘れ物でもした?」
「いや、言いたいことがあってさ。」
「え、なに?」
「これはさ、真里亜にだけ言うんだからな。まぁ、そのうちみんな言うと思うけど。」
え?なに?
真剣って顔でもないから、深刻な話じゃなさそうだけど。
「もう始まるだろ、夏大。」
夏、大。
あ、部活のことね。
夏の大会、かな?
高校野球って感じがする。
「もうそんな時期なんだね。頑張らなきゃね。」