きっと仁だって、できる。

私より1つ年上のお兄さんなんだから。


「いえねぇよ・・・。」

「どうして?」


「無理だから。」

「なにが?」


「無理なもんは」
「無理なことだと思うから無理なの!」


仁の口がポカンと開く。

私は、このすごくネガティブな仁に少しだけイラ立ちを覚えた。


「生きてたら無理だと思うことはたくさんあるよ!私だってそうだったもん!でも、誰かが背中を押してくれたから、今があるの。」

「・・・・・・」


「無理なことだってあるよ。でも、そこで逃げてたら前に進めない。何も変わらない。そんなの、人生おもしろくないよ。」


「真里亜・・・」

「無理かもしれない。でも、できるかもしれない。なら、できる方にかけてみようよ。」


私の中にあった思いが次々に口から仁に伝えていった。

私のこの思いは仁に届いたのかな。


届いていたらいいな。


「さんきゅうな・・・。」

「いえ、どういたしました。」


「おいおい。日本語練習しろよな?」

「今の君に言われたくないなぁ。」


「「ぷはっ」」


お互い様なんだよ。

人間なんて誰かの支えがないと生きていけないんだから。


一人で生きていく方が無理だよ。

壊れちゃうよ。


まぁ、私は壊れてたけど、壊れてもまた直せばいいんだ。

誰かと一緒に直してもらえばいいんだ。


それに気が付けないから、前に進めなくなっちゃうんだ。


「真里亜、頼みがあるんだけど。」