―――俺、下野裕樹は中学の時から野球部一本で頑張ってきた。
高校へ入学しても野球部に入ろうと思って、なるべく強そうな高校を選んでこの高校へ入った。
最初のころはなかなか部活の雰囲気なんかに馴染めなかったけど、徐々に先輩たちや同じ1年生とも仲良くできるようになっていった。
でも、ある日俺は大けがをした。
学校からの帰り道で、車との接触事故を起こした。
その時、一番最悪なことが起きた。
右腕をボッキリとやってしまった。
複雑骨折だと言われた俺は、一応聞いてみることにした。
「野球は、できますか?」
「・・・・・・」
もちろんわかっていたことだけど、俺は絶望した。
もう、野球ができないなら学校もやめようと思った。
学校なんか、部活がなくなったら面白くもなんともないって思ってた。
でも、その時話しかけてきてくれた先輩は神野仁先輩。
俺はその先輩に救われた。
『お前、野球すげー好きだろ!』
『好きです・・・。でも、この腕使えないから・・・。」
『なら、マネージャーやって俺らのサポートとかするってのはどう?』
「マネジ、ですか。」
『野球から離れるなんて、考えらんねぇだろ!好きなら一緒にやろうぜ!』
そのときの神野先輩の笑顔は一生忘れないと思う。
太陽みてぇに、すっげー輝いてたあの笑顔は俺の心に深く刻まれた。
この時から、俺のあこがれの先輩は神野先輩になった。
それから俺はマネジに移って野球部のメンバーとして一緒に頑張っていた。
そんな時、俺はある光景を目にした。
それは、神野先輩がある女子からの告白を受けているところ。
神野先輩はかっこいいしモテるんだろうと思ってた。
だから、その光景に納得はした。
でも、次の瞬間俺は憧れていた神野先輩に幻滅した。