午前中だけだったけど疲れた……。
配布物は多いし、話は長いし。


「ヒメ、見てよ。校門で誰か騒いでるよ」


初めて話しかけてくれた女の子。
玉井 真冬[タマイ マフユ]だ。
見た目は可愛くて男の子っぽい性格だけど、かなり乙女。


「あれ、お姉ちゃん…?………あ、約束してたんだ!!真冬ばいばい!」

「おいおい…じゃあまた明日な~」


急がなきゃ…

くつ箱に差し掛かったとき――――ドンッ!

目の前が暗い。


「おい?」

「わっ!ご、ごめんなさい!」


誰かとぶつかっていたみたい。


「あー、……大丈夫?」

「大丈夫……かもです!じゃ、急いでるんでっ」


前をよく見ておけばよかった……。