「うちのバカ息子がお宅の大事なお嬢さんを妊娠させてしまい、申し訳ありません。」


かっちゃんのお父さんとお母さんが、わたしの両親に頭を下げている。


「まったくだ。」


わたしのお父さんは不機嫌そうに、一言そう言った。


お母さんはどう言葉を返せばいいのか分からない様子だ。


「申し訳ありません。どうお詫びしたらいいものか・・・。」


「お宅の息子さんには、しっかり教育をしていただきたいですな。中学生でこんなことになるとは。」


「はい。本当に申し訳ありません。息子も反省しております。こらっ、おまえも謝れ。」


かっちゃんのお父さんは、かっちゃんの頭を床の上に押し付けた。


「すみません・・・。」


かっちゃんの口から、弱々しく言葉がもれた。


「もっと、大きな声で謝れ。」


「ごめんなさい・・・。」


「あの・・・、どうか頭を上げてください。」


お母さんがうろたえながら、かっちゃんの両親に言った。


「さぁ、お茶でも飲んで下さい・・・。」



このようなときにお茶をすすめるのは、その場の空気からして、明らかに変だったが、お母さんも何か言わなくてはと思ったのだろう。


かっちゃんの両親は頭を下げながら、お茶を一口すすった。