「かっちゃんのバカ・・・!」


 わたしは泣きながら立ち上がると、かっちゃんの頭にカバンをぶつけた。


「かっちゃんは赤ちゃんのお父さんなんだよ!赤ちゃんにとって、たった一人のお父さんなんだよ!そんなこと言われて、赤ちゃんがかわいそう・・・。

かっちゃんは男だから、わたしの気持ちが分からないんだよ!わたしは今も赤ちゃんと一緒にいるの!どんなときも一緒にいるの!赤ちゃんと一緒に生きてるの!!」



わたしは泣きながら、かっちゃんを公園に残したまま、一人で家に帰った。


かっちゃんはわたしを追いかけてはこなかった。




現実を見ろというかっちゃんの言葉。


育てられないのに産むほうが、無責任だというかっちゃんの言葉。


かっちゃんの言葉は、正しいのだろう・・・。



でもわたしは、かっちゃんがおなかのなかの赤ちゃんのことを、一つの命として見てくれていないことが辛かった。


わたしたちの赤ちゃんなのに、簡単に下ろせと言うかっちゃんを許せないと思った。