わたしは地の底に突き落とされた気持ちだった。


もしかしたらかっちゃんなら、わたしの気持ちを分かってくれるのではないかという最後の希望の光は、かっちゃんの言葉によって完全に消えてしまった。



「どうして・・・?」


わたしは震える声でたずねた。


「考えてみたら分かるだろ?」


かっちゃんはわたしから目をそらしたまま言った。


「おれたち、まだ中学生なんだ。おれたちで育てられるわけない。それに高校受験のことだってあるし、子供が生まれたら困るってことは、美里だって分かるだろ?おれたちには、これからの人生があるんだ。」


「でも・・・、赤ちゃん、生きてるんだよ・・・。」


「美里、子供は下ろすしかない。現実を見ろよ。」


「かっちゃん、ひどいよ・・・!」


わたしの目から涙が零れ落ちた。


「そんなの無責任だよ・・・!赤ちゃんがかわいそうだよ・・・!」


「育てられないのに産むほうが、よっぽど無責任じゃないか!」


かっちゃんは強い口調で言った。


「あのとき、避妊しなかったことは謝る。たった一回くらいでできるなんて、思いもしなかった・・・。でも、子供は下ろしてくれ。」