「美里、相変わらず、元気なさそうだなぁ。ほら、元気をやるよ。」


そう言って、かっちゃんはわたしの唇にキスをした。


「こらーっ!そこの二人、そんなところでいちゃいちゃすんな!」


校門のそばに立っていた先生が注意した。


「先生、おれたち超ラブラブなんです。キスくらいしたって、いいじゃないですか。」


かっちゃんはめげずに、わたしの肩に腕を回して、先生にさけび返した。


「ヨーロッパでは、キスは挨拶ですよ~。」


「ここは日本だ!キスは、人のいないところでしろ!」


「はーい。先生も早くいい人見つけて下さいね。」


「余計なお世話だ!」




かっちゃんなら・・・、もしかしたら産んでもいいって、言ってくれないかな・・・。


高校に行かずに働いて、一緒に育てようって、言ってくれないかな・・・。



わたしの胸にわずかな希望の光が差した。


しかし放課後、わたしは現実は甘くないことを知る。