「剛お兄さん、先に来てたんだね。待った?」


そう言って、剛の顔を見たとたん、わたしはどきっとした。



今日の剛は、メガネをかけていなかった。


あのとき・・・、わたしが寝顔に見とれていたら、突然目を覚まして、こちらを見たときと同じ顔をしていた。



「もしかして、メガネかけてないから驚いてる?」


剛は笑顔で言った。


「たまには、イメチェンするのもいいかと思ってさ。だから今日は、コンタクト。」


「そ、そうなんだ・・・。」


何だか目を合わせるのが恥ずかしくて、剛の顔をまともに見られずにいると、剛はカバンの中からプレゼントを取り出し、わたしに差し出した。


「はい、ホワイトデーのクッキー。」


「わーい!剛お兄さん、ありがとう!」


一気にいつもどおりの空気になり、わたしは飛び跳ねながら、プレゼントを受け取った。


リボンをといて、袋の中を覗いてみると、おいしそうな星型のクッキーがたくさん入っている。


「うまそうだろ?」


「うん、すごいおいしそう!一枚食べていい?」


「ちょっと待って・・・。」