「ねぇ、梓、あれ、麻里奈じゃない?」


わたしは梓をつついた。


「えっ?どこどこ?」


梓もそちらのほうに目を向けた。




もう一度見てみると、通路を歩いていった女の子は、やっぱり麻里奈だった。


学校で見る制服姿の麻里奈とは違い、今日の彼女は別人のように着飾って、ばっちりメイクをし、髪は巻き髪にしている。


しかも麻里奈は一人ではなかった。


麻里奈のとなりには、かっこいい男の子がいた。


見た目が断然かっこいいこと以外は、真面目そうなごく普通の男の子だ。


二人は腕を組んで歩いている。





「あの男の子、誰だろう?わたしたちの高校の子じゃないよね?」


わたしは男の子を見ながら言った。


「うん。」


梓もうなずいた。