「ねぇ、あれってさ・・・・」







ひそひそ声が聞こえ、我にかえる。



校門をくぐって30m。



気づけば、注目の的。



よく気づかなかったな、



自分を褒めてやりたい。







「あれあれ?問題児様のお越しじゃないですか?」



「ですねーっ。」



「キャハハハ」







全校生徒、687人。



今このネタを知らない人はいない。



周りから浴びる痛い視線を気にせず歩いていく。







「あっ、おい!河野!」



「何。」



「おまっ、お前なぁ!」



「何が言いたいんですか。」



「篠塚、全治一ヶ月だぞ!」



「あれ、自害したんですよ。」



「お前が、元凶だろう!」



「謝れと?」



「頼むよ!」



「あ、そっか。大手メーカー社長さんだった?」



「そ、それは・・・」



「ふざけんなよ。」







許せなかった。



権力に怯える教師が。



権力で操る親が。



権力に縛られてる、私も。