他の部隊に比べて若い兵が多いせいもあってか、アデルの周囲は活気に満ちていた。

「一応俺たちも噂について考えたんすよ!」

「ほぅ。聞かせてもらおうか」

「噂が本当なら、有力なのはルイちゃんじゃないかって!」

「隊長、彼女のことは俺たち以上に可愛がってるじゃないですか!」

やや非難めいた声には、もっと自分達も構ってほしいといった響きが含まれていた。
上手い具合に噂が広がっていることに満足し、アデルは微笑を浮かべた。
部下たちには、それがはぐらかすためのものに映り、益々声を荒げた。

「あぁー、わかんねぇ!隊長、結局本当なんですか!?」

「ていうか、ルイちゃんなんですか!?」

必死に尋ねる一人の部下に、アデルはきょとんとした顔で意外そうに尋ねる。

「……お前、ルイが好きなのか?」

問われた本人は上ずった声を上げて、真っ赤な顔でアデルから目を逸らした。
努力家で、健気で、ひた向きで。
そんなルイを見てきたのは、自分だけではなかったらしい。

(まぁ、俺が惹かれたんだ。他の男が目を付けても何ら不思議はないな)

不思議はないが、少々面白くない。