ジョシュアが去った部屋で、団長は取り残された哀れな少女を見下ろしていた。
布で口を塞がれて助けを呼ぶことも出来ず、空色の瞳で団長を睨み付けるしか出来なかった。
メルディ国の弓騎士ルイは、ただの弟子ではなくアデルの想い人であるらしい。
ジョシュアからそう教えられたとき、団長は驚かずにはいられなかった。
「ふん。こんな小娘にほだされたというのか……」
ベッドの上で縛られた手足を動かし抵抗を試みる少女の姿は、品性の欠けらもなかった。
聞けば、まだ十七だという。
一晩の暇つぶしには丁度よい年齢だろうが、恋人にするには幼いように思われる。
「まぁ、俺には関係ないがな」
「……!」
団長はベッドへ乗ると、乱暴にルイの口から布を外した。
「折角アデルに会えると思ったのに、残念だったなぁ」
「触らないで!」
団長の手がルイの肩を掴み、身動きが取れないままルイは叫んだ。
演技か本気かの境界線は、混ざり合ってしまってわからない。