同日の深夜、騎士団長の部屋を尋ねる影があった。
それは騎士団長の予想通りの人物で、彼は扉の前に立つその青年に、にっこりと下卑た笑いを向けたのだった。

「夜分遅くに失礼いたします」

氷のような声と、薄く輝く白銀の髪。
怒りに燃える紅い瞳で、ジョシュアは立っていた。

「いや、もうじき来る頃だろうと思っていた」

「……お見通しでしたか」

弱々しく呟き、ジョシュアは自身の傍らに何やら人を引き寄せる。
今まで団長の視界に映らなかったのは、ジョシュアの美貌と、団長が彼以外を見ようとしなかったことが原因だろう。

「……それは……?」

「こちらは、予想外ですか?」

にやりと笑い、ジョシュアは引き寄せた人物の、鮮やかな金糸の髪を乱暴に掴み顔を上げさせた。
口を塞ぐために布を巻かれ、抵抗を諦めない空色の瞳が団長を睨み上げた。
後ろ手に手を縛られた、それは一人の少女であった。

拘束された少女を掴むジョシュアの姿を見られては、団長も立場が悪くなる。
そう判断した彼は慌てて二名を部屋に招き入れた。