アデルとジョシュアの瓦解。
それは、シェーダ国の大幅な戦力低下を意味することを、多くの大臣がわかっていた。

目に見える決裂に、大臣たちは肝を冷やした。
すでに喧嘩は売ってしまった。
坂道を転がる石が止まることのないように、始まってしまった争いは転がり続けるしかない。

この先、シェーダに勝利はあるのだろうか。
ノルダ砦も取り返された。
シェーダ国は、優勢とは考えられない。

開戦派の中に、不安の一石が投じられた。

だが、それを喜ぶ者もいることも事実。
騎士団長はにやりと笑い、隠すように顔を俯けた。