その日、シェーダ国王城は、異様な緊張感に満たされていた。

ノルダ砦、陥落。

一度目の報での所有者はもちろんメルディであった。
だが、二度目の陥落の報での所有者は、シェーダ国。
あっさりと奪った敵国の砦は、同じように簡単に奪還されたのだった。

謁見の間で、王に跪くのはノルダ砦制圧軍指揮官のアデルと副指揮官のジョシュアの二名。
脇にはずらりと大臣がそびえ、王の隣では騎士団長が背筋を伸ばして控えていた。

今後の進攻に暗雲が差した一報。
だが、本当に彼らの口を黙らせているのは、責任者二名の仲違いが原因であった。