「それに、彼に情報を流した人がいるということは、その人はおそらく反戦派ではないかと思うんだ。僕の思い込みかもしれないけど、その人は彼に村を守らせるために情報を流したんじゃないのかな」

少々楽観的かもしれなかったが、イアンは目の前の男に希望の光を見いだした。

「それに……これは打算的だけど、彼の協力があればこの先が楽になると思うんだ」

この言葉には、団長も頷いた。
間接的で細い繋がりかもしれないが、村長には首都の貴族との連絡手段がある。
更に、その貴族は情報に強く反戦派と思われる。

これから首都に向かおうとするのなら、彼の持つ人脈は大いに役立つだろう。

「僕は彼の力を借りたい。だから、正直になるべきだと思ったんだ」

汚れ無き純粋な心を持って他者と向き合うイアンの姿は、ライラには眩しすぎる。
利害関係さえ一致すれば、嘘をついたままで協力することも出来る。
そのための交渉をすることは、ライラにとってそう難しいことではない。

だが、イアンのように全てを曝して相手を信用することから始めるやり方は、出来そうになかった。