アデルは最後に、正面に座るルイへと視線を移した。
改めて語る決意など、ルイにはない。
彼女ただ黙って微笑むだけだった。
それだけで十分だった。

大きく頷いたアデルの黄金色の瞳に、強い意志が宿る。

惜しむことなく協力してくれる仲間の心強さ。
そして、彼らを焚き付けた者として、期待に応えなければならない責任。

間違いは許されない。
そのプレッシャーは程よい緊張となりアデルにのしかかる。

(……今までで一番安心しているような気がするな)

人の考えを読み策を巡らせ、一人だけで動き回っていた今までよりも、アデルの気持ちは軽かった。
人を使うのは得意だったが、このように自分の意志を持って協力してもらうのは初めてだったのだ。
一人ではないという安心感がアデルを包み、同時に、全員を無事に守り抜きたいと決意は強まる。