「僕にも出来ることはありますか?」

真摯な少年の視線に、アデルは眉をしかめた。

「ルーク……。出来るなら俺はお前を巻き込みたくはない」

まだ若い少年を巻き込むには心が痛む。
それに、ルークが騎士に志願した理由はシェーダ国への忠誠心よりも、生活のためというのが本音であった。
それを思うと、無理に戦わせたくはない。

「ジョシュア副隊長が副官としてなら、僕は小隊員としてアデル隊長に従います」

「無理はしなくていい。今までの山賊退治とは違う。俺は、国を敵に回そうとしているんだ」

いくら部下だからと言って、そこまで付き合う必要はない。
そう告げると、ルークは大きく首を横に振った。

「本気で僕を心配してくれる隊長だからこそ、力になりたいと思うんです!」

尊敬の念が籠められた瞳に、アデルはもう言葉を返すことが出来なかった。
説得が出来ないのなら、なるべく安全に動いてもらおう。
そう、自分を納得させて。