ジョシュアの隣でルイの正面の席が空けられており、アデルはそこの椅子へ腰を下ろした。

「……ノルン、本当に手を貸してくれるのか?」

アデルは机に両腕を乗せ、若干前屈みになりながら複雑な表情を浮かべた。
ノルンを疑っているのではなく、心配しているから発せられた問いに、ノルンは肩を竦めた。

「そうじゃなきゃ、こうしてタクトを連れては来ないわ」

「わかっている。だが、今ならまだ何も始まっていない。知らないふりも出来る」

そう言って、アデルはノルンだけでなく、机を囲む全員の顔を見渡した。
本当ならば、誰も巻き込みたくはなかったのに。
アデルの想いとは裏腹に、彼を見つめ返す瞳の意志はどれも堅い。