お盆を調理場へ片付けてルイに言われた通りに書斎へ向かうと、そこには昨夜の顔触れに加え、新たな二名が加わっていた。

「ノルンに、タクト?何故……」

「戦争を止める策があるようじゃない?私も手伝うわ」

力強くアデルを見据えるノルンの隣で、タクトも大きく頷いた。
そこでアデルはノルンの意図を察する。
要するに彼女は、弱点となるタクトを傍に置いて守るつもりか。
それならば、アデルが懸念した人質の問題も解決される。

アデルは頭を抱えてため息を吐く。
自ら好き好んで厄介ごとに首を突っ込む必要などないというのに。

「手の掛かる女に惚れたものだな」

アデルは同情の意を籠めたが、タクトはくすくす笑って隣に座るルイを見た。

「アデル様には言われたくありません」

「む……」

「確かに。自ら敵国まで乗り込むお嬢さんでは、どっちもどっちでしょう」

からかいをたっぷり含んだジョシュアを、ルイとノルンはすかさず睨んだ。
動じる事なく笑い続けるジョシュアの隣では、ハラハラとルークが二人とジョシュアを見比べていた。