何度目かの口付けにルイも慣れてきたようで、アデルの舌に拙いながらも自分の舌を絡めようと努力していた。

(……可愛い)

このまま食べてしまいたい。
だが、そのような状況でないことはわかっていた。
この不可解な戦争を止めるために、協力すると決めたのだから。

ゆっくりと唇を離せば、熱っぽい吐息がルイから零れる。
高揚した頬と潤んだ瞳に、名残惜しいのは自分だけではなかったと、アデルは微笑した。

「アデルさん以外は、みなさん、食事が終わってますから……」

アデルはどうやら、珍しく寝すぎたらしい。
いままでの気疲れが、ルイに会ったことで一気に緩んだのだ。
それでも、まだ朝日が昇り始めた時間だというから、寝坊にもならない。

「食べおわったら、書斎に来てください。みなさん、待っていますから」

来た道を戻ろうとしたルイの腕を、アデルは反射的に掴んでいた。
驚いて振り返ったルイは、アデルの言葉に、更に驚かされた。

「一緒にいてはくれないのか?」

まるで、甘えるような直球の台詞に唖然としていると、アデルはにやりと笑いルイの額にキスをした。

「冗談だ、すぐ行く」

涼やかな笑みを浮かべて部屋に戻るアデルを、ルイは真っ赤な顔で見送ることしかできなかった。