孤児院にいたころは雷が鳴ると小さな子たちは怖がり、ルイとユリアがその子たちを抱き締めて眠っていた。
幸せな記憶に浸るように目を閉じたルイの身体に、アデルは縋り付くように抱きついた。
「アデルさん……!?」
いきなりの熱烈な抱擁にルイの声は上ずった。
アデルはルイの肩へと頭を擦り寄せ、自虐的に微笑んだ。
「……駄目だ。お前の傍だと、どうにも弱さが出てくるらしい」
大地を割るようなけたたましい雷鳴が、身体を貫く。
ルイの背中に回されたアデルの手が、救いを求めてルイの服へとしわを作った。
雷に怯える子供たちと変わらぬアデルの姿に、ルイは驚いてしまう。
「苦手なのですか?」
「……あぁ。情けない」
返事もどこか弱々しく響き、ルイの母性本能が強く刺激される。
ルイはアデルの背中に腕を回すと、ゆっくりとその背中を撫でた。
「大丈夫、傍にいます」
「……」
アデルは更に強くルイを抱き締めた。
苦しさに声が出そうになるのを堪え、ルイは手を動かす。