「俺の想いが、不安が、重なった部分から全部伝わればいいんだ。そうすればお前は、俺を手伝うなんて言わないだろうに」
堅く閉ざされた瞳。
震える唇。
目の前で苦しげに歪むアデルの顔。
ルイは頬を包む冷たい手に、自身の手を重ねた。
「私の想いだって、伝わってほしいですよ……」
「……そうだな。互いにどれだけ大切かが伝わり合えばいいのにな」
それが出来ないから言葉がある。
「お前が好きだから、失いたくない。利用したくない。……打算的な俺を見て、嫌われたくないんだ、ルイにだけは」
「……アデルさんはばかです」
「何だと?」
「私は貴方が好きだから、利用してくれても構わないんです」
アデルの瞳がぱちりと開いた。
驚きに満ちた金色に、ルイは空色を細めて笑う。
「わかりませんか?私だって、貴方を失うことが怖いわ」
それに、とルイは悪戯っぽく肩を竦めた。
「アデルさんばかりにいい格好させたら、ディン隊長やライラが悔しがります」
「……まぁな」
アデルの脳裏に、よき友であり好敵手でもある二人の不満げな顔が浮かぶ。
あの二人に挟まれて文句を言われるのは、少し面倒かもしれない。