その様子に不信感を抱き、ジョシュアは二人へと首を傾げた。
その顔は、どこか笑っている。
「どうかしましたか?落ち着きがありませんよ」
アデルはルイの太股を撫でる手を止め、彼女のパンを奪いジャムを塗っていた。
その手を止めずパンをルイに返すと、左手でルイの頭を抱えて自分の身体へと引き寄せた。
口から出かけた感謝の言葉が、固まる。
「久々に恋人と会えたんだ。いちゃついて何が悪い?」
「そういうのは人前では我慢し、部屋でひっそりとやってください」
「なんだ?お前たちは目の前にある食事を我慢せず食べられるのに、俺は食べるのを我慢しなければならないのか?」
「ルイは食事ではありませんよ」
「こんなに甘くて病み付きになる味を、俺は他に知らないが」
「いい加減にしてください!」
真っ赤な顔で怒鳴るルイに、二人は顔を見合わせて笑いだした。
どうやら、いつのまにか手を組んでルイをからかっていたらしい。
長く同じ小隊でコンビを組んでいただけあり、意志の疎通には感心するところがあった。
だが、出来ればそれはもっと違う場面で見せてほしかったと、ルイは心から思った。