死者への冒涜だ!
顔を真っ青にしているルイの前で、ジョシュアは平然と墓石の下に隠れていた遺体を収める空間に通じる扉を開けた。
『!!』
ルイは声にならない叫び声を上げて、目を閉じる。
そして、ゆっくりと目を開き、恐る恐るジョシュアの背後から墓の中を覗き込んだ。
そこには、本来あるはずの遺体はなく、薄暗い地下へと続く階段があった。
『アイリス様の本当のご遺体は違うところにあります。ここは、ヤーデ家の邸宅に繋がる非常通路です』
ジョシュアは転がった墓石を抱えて、開いた扉の隣へと置く。
ここを通れば、門番に見つからずアデルの元へ行ける。
『私も使うのは初めてですが』
そう言って笑うジョシュアに従い、ルイはゆっくりと階段を降りたのだった。