目の前のジョシュアという男を利用してでも、アデルの元へ行くことを。

「ジョシュアさん、私を王都へ連れていってください」

自分の身くらい、自分で守りますから。
凛として告げるルイの金糸の髪が風に揺れる。
戦うと決めたら揺るがぬ彼女の姿に、ジョシュアは今は亡き前王の美しき近衛騎士を思い出す。

(共に戦ったことはありませんが、幼き日に見た王の傍らに立つアイリス殿によく似ている)

最も、アイリスのほうがずっと気高く美しかったが。
ルイはどちらかといえば、可憐な部類に入る。

「わかりました。私たちは今夜砦を立ちます。時間も迫っているので、準備が出来次第こちらへいらしてください」

「待て」

頷いたルイの腕を掴み、ライラが二人へと深い緑の瞳を向ける。
一つの決意を宿したライラが、ゆっくりと口を開いた。

「もし、アデルが戦争を止めたいと願うのなら−−……」