初めに見せた敵意は、確かなものだった。
さて、どうやって目の前の少女に理解してもらおうか。
嘘や誤魔化しは止めて、正直に話すことが一番だと、これまでの会話でわかった。
「……もしもあの一射でやられるようなら、役には立たないだろうと思ったのですよ」
「試したのか?」
「えぇ。……これは、私の独断です」
引き締められた声が、ルイを突き刺す。
「アデルは数日前に城へと戻りました。貴方が言うように、一人で戦おうとしています」
今までの人を試すような作られた表情でなく、心からアデルを心配しているジョシュアの言葉は、どこか寂しげに響く。
(この人も、私と同じ……)
同じに、何も言わないアデルを心配している。
気付いてしまったルイは、もう疑うことが出来なかった。
「貴方が傍にいることは、アデルにとって意味を持つはずなのです。だから私は、貴方を王都へ連れていきたい」
ライラが、息を詰まらせた。
敵の真ん中に投げ込むような真似は危険過ぎる。
それをするのは、目の前のジョシュアが完全に信用できる人物の時だけだ。