(利用してやるつもりだったんですけどね)

ジョシュアは頬の力を緩めると、ため息混じりの笑みを零した。

「私は貴方を見くびっていたようです」

両手を挙げたまま頭を下げると、ジョシュアは紅い瞳に真摯な色を讃えてルイを見つめた。

「私はアデルの部下ですが、貴方がたにそれを証明する術はありません。それでも貴方は、アデルの元へ行くための道案内を私に頼みますか?」

いくらルイがジョシュアを見かけたことがあるとしても、それだけで信用することは不可能だろう。
ジョシュアがアデルを裏切りルイを人質に取ろうとしているという可能性もある。
それを懸念している様子のライラは、疑り深い視線をずっとジョシュアに向けている。

何かを考え込み、口を閉ざしていたルイは控えめにジョシュアへと問い掛けた。

「……貴方は何故、矢を放ったのですか?」

責めるでも許すでもなく、ただ問うルイの瞳に、ジョシュアは苦笑してみせた。