確かに、ルイの言う通りである。
アデルは敵を滅ぼせと言われれば敵に情けを掛けることはしないし、本気でメルディを侵略する気ならば、少ない労力で大きな利益を得ようとする。

例えば、ノルダ砦を激しく攻め機能を低下させた後、ドルネアに上手く話を流しメルディへと侵攻させる。
そしてシェーダ軍は一旦退かせて、メルディには川から攻めてくるドルネアを相手にしてもらう。
疲弊しきったノルダ砦を制圧し、そのままドルネアを侵攻させ上陸させる。
後はドルネアの猛攻とメルディの防戦を横目に少しずつ制圧箇所を増やしながら、テルーベ大河を渡るドルネアの補給船をノルダ砦から沈ませていくのだ。
補給がうまくいかないドルネアと、守勢のメルディ。
二国が弱りきったところで横から主力を投入する。
美味しいところをもっていく、狡いやり方だと非難されるかもしれないが、アデルはエルクのためならばそれくらいやる。

だが、今のアデルはどうだろうか。
彼の労力は、明らかに利益を上回るようジョシュアには見える。