「……我々は、侵略者ですよ?」

それに手を貸すことは、祖国を侵すことと同じでしょう?
そう言って眉を潜めたジョシュアは、心のどこかでルイに怯えていた。
どれだけ欺こうと言葉を重ねても、ルイの気持ちを折ることは出来ないような気がしている。

「貴方たち侵略者は、略奪者ではありませんでした」

ルイはゆっくりと首を振ると、初めて笑顔を浮かべた。
空色の瞳を優しく細めた少女に、ジョシュアは思わず息を呑んだ。

随分と年下にほだされたアデルが信じられなかったが、なるほどと納得させられる強かな笑みを浮かべている。
女は年齢ではないのかもしれない、なんて思える。

「内情について、聞かせていただきました。捕虜への暴行、女性兵への乱暴に対する罰の徹底ぶりは容赦がなかったと伺っております」

だから、とルイは真っ直ぐにジョシュアを見据える。

「私はアデルさんを信じます。あの人は、こんな戦いを望んでいない」

侵略をするのなら、より効果的でメルディの戦力を削ぐことが出来るような人間だから。
そう言うと、ジョシュアはくつくつと笑いだした。